日本船舶海洋工学会 関西支部 海友フォーラム K シ ニ ア
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海事博物館の点描 ― そこから見えるもの

2010.05.27 岡本 洋

      2010.02.05 「海友フオーラム」 第9回懇談会にて発表 (Power Point 29駒) を 増補編集。

1.はしがき

 1.1 現在、世界で海事博物館の拡充、新設が報じられている。
    新設例では、昨年(2009年)暮れに開館した中国・国立海事博物館、工事中で2012年オープンの
    Elsinor,Denmark、韓国など。 計画中は中東アブダビ、 拡張は2012年ロンドン・オリンピツクに
    あわせた英国ロンドン・グリニッジの National Maritime Museumなどがある。

 1.2 世界の海事博物館連携の活動――活動中の世界各国の海事博物館の世界組織としてICMM
    (International Congress of Maritime Museum) がある。

 1.3 ICMM報告から見える活動の傾向―各国の海上活動保存船Alive Heritageによる青少年PR活動が
    盛ん、アメリカでの観客減少、ヴアイキング復元船による実験航海ほか。

 1.4 日本で、今こそ造船技術海事博物館 建設を !!

 1.5 ハードと共にソフトも充実した、見習うべきNMMの底力。

 1.6 Kシニア・保存活動の発展を 造船技術発展軌跡のハート゛とソフトの体系的保存。
    などについて考える。


2.英国の事例

    国立海事博物館 (National Maritime Museum,NMM)国立科学博物館・運輸部門、
   更に 自然史博物館産業博物館 (Transport部門) などがある。
   そのほかに日本のように各地に海軍関係、造船、海運など多数の海事博物館がある。

         図1 国立海事博物館
2.1 NMM ――ロンドン市内、グリニッジにある
           世界屈指の海事博物館。

 水運と密接に結びついてきたグリニッジの
 歴史的建造物群は、世界遺産に登録され
 ている。


1) 3部門から構成されている。
   @Maritime Galleries(我々の直接的対象)
   ARoyal Observatory, Greenwichー天文台
   B17世紀Queen’s House
   創立1934年。 開館1937年。
   床面積 81万u、展示2百万件

2) 拡張計画―2012年ロンドン・オリンピック
    までに、「A Sea Change・・」として。

            図2 NMM
3) 豊富なレパートリーと内容――芸術、
   地図作成法、写本、船の 模型と見取り図、
   科学機器および航法計器、計時や天文学
   機器(天文台に保管)など、英国海洋史に
   おいて最も重要と考えられる世界有数の
   秘蔵品を保管。     

4) 膨大なソフト・蔵書量――図書館の所蔵
   書籍数は10万冊を下らず、海事歴史関連
   書物のコレクションにおいて世界最大の
   規模を誇る。

5) ソフト力―博物館・図書館・研究組織的な
   ソフト力を含め網羅的内容が世界屈指の
   海事博物館のゆえんである。

  図3 カティーサーク号 (火災消失前)
6) カティーサーク号の復元――1869年に
   建造され、高速ティーク・リッパーとして
   活躍した。 Loa=86m。
   グリニツチ近郊に、1950年から保存展示
   されていたが、改修工事中の2007年5月に
   船首部などのみを残してほぼ全焼。
   然し、2012年のロンドン・オリンピックまで
   に完成を目指す復元工事が決定している。

        図4 英国・国立科学博物館
2.2 英国・国立科学博物館
    Science Museum


  NMMのほかに同じくロンドン市内に
 160年近くの歴史を持ち、運輸関連の
 豊富な展示を擁するScience Museum
 がある。
 「英国立科学産業博物館 National
  Museum of Science and Industry」
 に属す。

 1851年に開催された第1回万国博覧
 会の収益金で 「サウス・ケンジントン
 博物館」を1857年に公開。

           図5 Science Museum
 1870年代には「王立造船船舶学校」
 から機械模型や造船の過程を示す
 構造模型などが移された。

 第二次世界大戦中の休館を経て、
 1946年2月に開館。    
 現在、英国立科学産業博物館には
 年間300万人の利用者。

 船舶関連の実物機器、エンジン類の
 実体展示が実に充実していると感心
 した、のは昔の見学記憶である。


3.独立行政法人・国立科学博物館・東京

        図6 (独)国立科学博物館・東京

3.1 設立・・・1877年(明治10)
  日本で最も歴史のある博物館の一つ
  で、国立の唯一の総合科学博物館。

3.2 施設・・・上野本館をはじめ5地区

3.3 活動・・・調査研究、標本資料の
   収集・保管、展示、学習支援活動
   自然史及び科学技術史研究の
   世界の中核的拠点、また 日本の
   中心的博物館として活動。

3.4 所蔵・・・約380万点

        図7 (独)国立科学博物館・東京
3.5 沿革・・・文部省博物局の観覧施設
   として湯島聖堂内に博物館を設置、
   平成13年4月
   独立行政法人国立科学博物館と
   なる。

――我々に関連ある組織としてつぎ2つがある――

3.6
 @理工学研究部 科学技術史グループ
 A産業技術史資料情報センター

 我が国の産業技術の歴史に関する資料の収集、評価、保存、公開、及び重要科学技術史資料の台帳への登録、並びにこれらに係る情報の提供を行っている。
 また、全国の産業系博物館とネットワークを形成し、我が国の産業技術の歴史に関する情報拠点として活動。
 「産業技術の歴史産業技術史資料データベース」(http://sts.kahaku.go.jp/)など様々な情報を発信。


4.ハンブルグ国際海事博物館―International Maritime Museum Hamburg, IMMH
 比較的新しく、2008年開設。海事史 3,000年 の収集品を展示。 

          図8 ハンブルグ国際海事博物館
4.1 場所・・・ドイツ ハンブルグ 港湾
   地区、  展示面積・・・11,000 u

4.2 展示、ほか・・・船舶模型 26,000隻、
   構造図面 5万件、絵画など 5千点、
   フィルム 2千本、写真 150万点、
   図書12万冊、 航海機器多数、
   制服類、 その他海事器具多数。

――  (かってハンブルグで見学した
海事博物館は、床が現図場を再現した
ユニークなものだったが、ホームページ
上では現状を確認できなかった。
この博物館 IMMH は 現実には
見ていない) ――

               図9 IMMH
4.3 IMMHの展示より

            図10 IMMH
帝国海軍の模型関係の展示


収蔵の範囲の広さの様子がうかがえる。


5.船の科学館・東京

 5.1 設立・・・昭和42年4月

 5.2 運営・・・財団法人日本船舶振興会は 博物館事業の実施運営団体として
          財団法人日本海事科学振興財団を設立。

 5.3 目的・・・船の科学館」は、次代を担う青少年に、人類の文化と経済の発展に大きく貢献する
          『船』への理解と認識を深めるとともに、限りない未来に対する夢を育むことを目的
          として建設。

  ――本来の設立趣旨の性格上、退役実船・機器、模型などの展示が中心で、青少年への啓蒙、
     PR的性格が強いように思われる。
     船舶の建造の背景・技術的中身などに関するソフト面にまでに範囲を拡げることが望まれる。 

               図12 展示船と本館

  図11 船の科学館・本館

               図13 展示の一部
 5.4 船の科学館の国内ネツトワーク活動
     国内海事博物館のリーダー的な立場としてネツトワーク活動がおこなわれている。
     日本財団補助事業が多い。

  1)国内の海と船の博物館の紹介
      夫々の館への リンク(動画、その他) が貼られていて有用。
     然し、一部では行われているケースもあるが、更に進んで、国内海事博物館の全体の所蔵内容
     を視野に入れたデーターベースの拡充、テーマ別など縦・横から見た、分類整理が出来れば
     ネットワークの価値は高まる。

  2)国内の海事博物館とのネツトワーク活動の例――平成21年度「海と船の巡回展」
       @函館市灯台資料館(北海道)         平成21年4/24〜6/3
       A笠沙恵比寿(鹿児島県)            平成21年6/6〜7/26
       B兵庫県立歴史博物館(兵庫県)        平成21年7/8〜9/26
       C ぐんまこどもの国児童会館(群馬県)     平成21年8/2〜9/1
       D青函連絡船メモリアルシップ八甲田丸(青森県) 平成21年9/5〜11/3
       Eなにわの海の時空館(大阪)          平成21年9/29〜10/28
       F三菱みなとみらい技術館(神奈川県)    平成22年1/6〜3/15
       Gきしわだ自然資料館(大阪)          平成22年1/19〜3/14    但し、各詳細不詳


6.その他の国内の海事博物館 例

 6.1 なにわの海の時空館
     大阪南港の埋立地にある特異な建物で眼を惹く。
     展示の目玉はドーム内に陸上展示されている実物復元・菱垣廻船浪速丸
     ドーム部へは地下(海底)通路からという特異な構造
     更なる収蔵資料の拡充・更新とソフト活動の充実が望まれる。

図14、15,16
 なにわの海の
時空館 と
菱垣廻船
 6.2 南極観測船「ふじ」の退役実船展示。
     名古屋港機能の沖合い展開に伴い発祥の地のガーデン埠頭に博物館として実物展示。

                      図17 名古屋ガーデン埠頭全景と「ふじ」
2代目砕氷船。

ディーゼル電気
推進・2軸


7. 世界の海事博物館の連携 、
  Intrenational Congress of Maritime Museum ICMMの活動概要


 7.1 組織・・・世界の海事博物館の国際会議組織。
  1)目的・・・海事遺産の保存に関する
      海事博物館の組織・関係個人
      の国際友好協、組織協力・
      相互理解の増進。

  2)議開催履歴
      2年毎に 海事博物館所在地
      にて開催 (図18参照)

  3)メンバー
      約77機関。
  
  4)主要国の参加機関数内訳
    
国/機関数=
      日本1(船の科学館 )、
      USA 19、 UK 14、 豪 7、
      オランダ 6、 フインランド 4、
      ノルウエイ 3

           図18 最近のICMM開催地


8.国際博物館会議 ・ International Council of Museum, ICOM
                                 ・・・・海事を越えた広範囲な活動

 8.1 設立・・・ICOM は1946年に設立。 147カ国におよそ15,000人のメンバーを有す。

 8.2 組織・・・ICOMは、国際的なレベルで、博物館および博物館専門職のプロモーションと、収集、保存、
     研究、広報、展示、教育の活動を発展につとめる世界組織。
     ICOMはUNESCOと公式な協力関係を結んでいる非政府団体(NGO)で、国連の経済社会委員会
     の顧問としての役割を果たしている。
     ICOM日本委員会は、事務所を財団法人日本博物館協会内。 委員長は国立科学博物館長。
     ICOM の下には29の専門委員会がある。 関連するものとしては次のものがある。

 8.3 科学技術関連の専門委員会 CIMUSET
     International Committee for Museums and Collections of Science and Technology
    科学技術の博物館とコレクション国際委員会

     CIMUSETは、科学技術分野の博物館専門職で構成され、歴史的資料を収集する伝統的な科学
     技術博物館と、主として子供と若者に科学技術を普及し、その知識の増進に努める科学センター
     の双方のためのもの。 年次会議を開いている。 非常に大きな組織である。
 
 8.4 メンバー・・・116の国内委員会と、25の国際委員会の活動に参加。 国内委員会の中には、活動を
     強化するために地域レベルで組織されているものもある。

 8.5 運営・・・ICOMは非営利団体であり、活動資金は主にメンバーの寄付によってまかなわれる。
     また、UNESCOの博物館のためのプログラムや、公的機関・民間からの資金提供を受けている。
     本部はパリ。 文化財保存に関連して、多くの国際機関と連携。


9..中国、韓国の海事博物館

 9.1中国・新・海事博物館

  1)開設 2006年10月に設立準備室
       設置。 2008年上半期に
       主要部分が完成、
       2009年末に公開。

  2)場所 上海の黄海周辺の上海
       臨海新城、東海大橋詰め
       南匯区、大学キャンパス
       隣接地。
           敷地  24,830u、
           床面積 46,434u

  3)施設 中国初の 国家レベルの
       マリタイム博物館。

     図19 中国航海博物館 (2009年末開館) ・上海
       館内は5つの建物に別れ、計12の展示ブースのほかプラネタリューム館、4D映画館、
       学術報告ホールなどが併設される。
          (東亜通信社ほか。 http://www.recordchina.co.jp/group/g32281.html)
       いずれにしても、2010年5月の上海万博には全面開館という計画と思われる。

 9.2 韓国・既存
     韓国海洋大学付属博物館

 1) 設立 1985年
 2) 所在地 釜山市島影区東三洞1
 3) 延べ面積 653.8u
    主なコレクション=船舶部品、
    ジョゲムジ発掘資料
 4) 展示室 玄関/歴史資料館/
    船舶の歴史/船舶用機器/
    仮想線バクグァン


 9.3 韓国・新規の起工

  1)起工 2010.01.29
  2)場所 釜山
  3)開館 2012.5予定

         図20 韓国 海洋大学博物館 (既存)
 韓国で今年1月、世界初の総合海洋博物館となる国立海洋博物館の起工式が釜山で行われた。
 場所は釜山の東三洞(場所は市南部の影島区?)、建物は4階建。

 ここは、 船舶博物館、海洋自然史博物館、海洋生物博物館の海洋アクアリウムを統合した世界初の総合海洋博物館になる計画で、2012年5月の麗水国際博覧会の開幕と同時開館予定。

 海洋図書館と子ども博物館をはじめ、海洋文化と歴史などをひと目で観覧できる常設展示館も設置される。

      図21 国立海洋博物館 (完成予想図)
 賃貸型の民間投資事業(BTL)方式とし、総額1142億ウォン(約88.8億円)。 国土海洋部は開館前までに、展示・所蔵用の海洋遺物を総額123億ウォン(約9.6億円)を投入し確保する予定。

 新博物館が開館されれば、毎年約70万〜80万人の国内外観覧客が入場し、海洋文化観光産業育成と地域経済活性化に役立つと、国土海洋部は期待している。

 東三洞の革新都市は、国立海洋博物館、韓国海洋研究院、韓国海洋水産開発院、国立海洋調査院など、文化・教育・研究・行政関連の13機関が入居し、韓国の代表的海洋分野研究・教育クラスターとして造成される(2010.01.29 Konet) (2010.02.02 Pusan navi)。と報じられている。

 各国の最近までの海事博物館事情などを調査したとの報道もあるので、世界一をめざしてかなり先進的なものができるのではないか、と思われる。


10.考察とまとめ

 10.1海事博物館のソフト力、ソフト指向充実を
      海事博物館の使命は、@収集・保管、A展示・教育、B研究調査である。

                図22
 まず@の収集物件の質と量が最重要であるが、ここではそのレパートリーを左図のように考えた。

 海事博物館の理想は、左図の全域をカバーする事が求められるのは勿論だが、加えて、その物の実現を求めた社会の背景、又それを可能にした技術への連想を誘導するようなポテンシャルが望まれる思う。

 戦後多くの博物館が建設されたが、箱物施設と共にHardに偏る傾向がある、と指摘されることが多いのは残念な事である。

                図23
10.2 造船技術博物館の建設への想い
   英国のNMMの建設時期と新造船建造セヤーとの関係を見たのが下図である。

 NMMの建設時期は英国の造船力にかげりが見え始めた時期にあたる。

 日本の場合、造船最盛期に開館した「船の科学館」は実船実機類の展示で大きな特徴を持ち、設立趣旨にあるように青少年への啓蒙の比重が高くまた国内海事博物館のリーダー的存在として活躍している。

 しかし、20世紀において、建造量と技術革新において世界をリードしてきた我国の造船界は、21世紀にはいって韓国、中国の台頭を受けて新しい時代に入ろうとして居る。
 このような転換の時代とNMMの設立とその後の発展、韓国などの新海洋博物館着工などを考え合わせると、日本の現状は不十分と考えられるので、更にソフト指向を高めた本格的な海事博物館の存在が望まれる。

 このような状況下において、Kシニア・造船資料・用具の調査・保存委員会の活動は、造船技術の資料保存、伝承に重点を置いおり、ここに述べた考察から大いに有意義な活動といえる。今後の、活動の発展と成果が期待される。

                           −−− おわり −−−




            付録・・ICMM 2009 発表論文概要    (編集文責、 2010.3 岡本 洋)

 ICMM 2009は 2009年10月5-9日、デンマーク西岸の港町エスビャウで開かれた。

 会議の主題は、時代変化の認識―不確実性への対応 (Understanding Change − Coping with Uncertainty)。   開会の辞 デンマーク・文化相 カリナ・クリステンセン。

 発表された17編の標題と概要以下のとおり。

1.デンマーク、 新海事博物館 「Denmark's New  Maritime Museum」 
 by Jorgen Selmer(デンマーク)、Danish Maritime Museum, Elsinor, Denmark
 2012年にopen 予定。Elsinor造船所のドックを利用。 地下7,600u。 メイン展示面積2,500u。
 古い海事博物館はELsinorのKronborg城。
2. グダンスク海事博物館の取り組み 「Taking full  
advantage of the opportunities offered by change−How we in Gdansk are coping with uncertainty」
    
 by Jerzy Litwin(ポーランド)、
 Polish Maritime Museum
3. 動態遺産「Operational heritage ? economic millstone or opportunity for reaching new audiences.」 
 Alan Edenborough. (オーストラリア)、
 Sydney Heritage Fleet
 The World Ship Trustは2,000隻以上の歴史的船舶の登録をしている。 歴史的船舶の展示の希望がたかまっている。 これらの船舶の活用を論じている。
4. バイキング・ロングシツプの試験航海 「The Sea Stallion Experiment」          
 Damgard-Sorensen(デンマーク),
 The Viking Ship Museum,Roskilde, Denmark
 デンマークのロスキレ(コペンハーゲンの近く)からアイルランド・ダブリン までの往復試験航海が2007〜08年にかけて行われた。 西欧に広く知られた国際イベントの紹介。
5.観客減少対策としての変革 「Changing our Course without Losing our Audiences」
 Stuart Parnes(アメリカ)、 Chesapeake Bay Maritime Museum, USA
 チェサピーク湾で失われつつあるボート・漁船の保存のために1960年代に開館した、館員30人の中規模の戸外博物館。 18エーカーの桟橋保有、年間予算約3億円。 40年間評価の高い展示や過去の価値ある海事事実を伝えてきた。 然し、最近になって住民の文化、生活がドラマチックに変わってきた。
 アメリカの海事を含む歴史博物館の入場者が減少。 その理由
  1. 国家の焦点が科学と技術に向かっている。従って小学校から大学院までアカデミック優先に。
  2. 家庭内活動、家庭内勉強、自身ハンド体験の傾向か高まる。
  3. 競争が高まり、自由時間が少なくなる。 ――競争社会は大人から子供まで余裕無く走っている?
  4. 米国自由主義の様相の変化 ――西欧出身のホワイト・アメリカ人がもはや多くの州で少数派に
     なろうとしている。 ――新人類は歴史に興味と関心を持つ教養を忘れた、ということか?。
  5. アメリカ海事企業はその数も印象もすくなつた −−海はもはやレジャーの場所でしかない。
  6. そして、経済情勢 ――新自由主義と経済不況 ?

 我々も変わらねばならない。サポートしてくれている6千家族をはじめ環境、生物歴史専門家、館員、来館者と共に検討。 近隣の歴史博物館とも連携。 チェンジは危険かもしれないがチェンジが必要。 来館者の増加と彼らの支持をうることをめざして。 ――アメリカも変わったか、感慨深い報告。
                                            ↑ ――は 岡本の感想。

6. 特質化より総合化へ、戦略的収集 
  「From idiosyncratic to integrated: Strategic planning for collections」
 
  Dr. James Gardner(アメリカ)、 National Museum of American History, Smithsonian Institution
  多くの博物館にとって最大のテーマは、知的枠組みを発展させることであり、収集戦略について明確に理論化することである。
7. 博物館保存船の廃棄 「Demise of the Museum Ship Wawona: Settling an Historic Ship’s Fate」
 Nathaniel Howe (アメリカ)、 Northwest Seaport Seattle, USA).
 112歳になるWawona号の処分についての報告。
 シヤトルのNorth West Sea Port のFlag Ship,Pacific Schooner、 国の遺産船舶登録されているこの船は2009年3月、遂に解体ヤードに持ち込まれた。
8. 博物館の興行主義 と 挑戦精神
 「The Entrepreneurial Museum and the Wild Spirits?”」

 Matthew Tanner MBE (英国)、ss Great Britain Trust.
 博物館に於ける興行主義はチャンスでもあり、また障害にもなるが、発展には新しいものへの挑戦も必要、という論旨らしい。
9.観客より関係者へ「From Audience to cnnectives」
 Karin Brandt (オランダ)、National Maritime Museum, Amsterdam, Netherlands

10.「The MARIMUS Project ? Next step in the pursuit of a Vision」 
 by Morten Hahn-Pedersen(デンマーク)、Fisheries and Maritime Museum, Esbjerg, Denmark

11.収集の管理と充実「Management and Enrichment」
 Jean-Noel (フランス)、, Musee National de la Marine, Paris,Frans
  1748年創設、フランス国立海事博物館Mnm(パリ)は世界最古に属するコレクション。
 その収集についての管理と拡充について。
                                  以下略。

                   ―――――――――――以上――――――――――――