日本船舶海洋工学会 関西支部 海友フォーラム K シ ニ ア
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海友フォーラム 第25回懇談会 報告

文責 大山正俊

1. 日時 : 2014年11月6(木) 14:00~18:30
   会場 : 川重 パトリシア会館

2. 参加者 : 22名 (会員17名、オブザーバー1名、講師4名)  (順不同、敬称略) 
        小林幹弘、 藤村 洋、 岡本 洋、 矢木常之、 増本 敞、 岡 正志、 長野 健、 大山正俊、
        井澤雄幸、 小野靖彦、 山中直樹、 山中幸一、 外山 嵩、 神田修治、 濱田孝一、
        小寺元雄、 高坂 明、 荻野繁之(オブザーバー参加) 
        講師 : 山野惟夫、 Eka Erzalia、 中村彩乃、 斉藤公男

3. 講演


  1) 「インドネシア・バンカでの生活」 ・・・ 山野惟夫 氏
 山野氏は2012年1月からJICAシルバーエキスパートとしてインドネシアの国立バンカ・ベリトゥン工業高専の顧問をされ、本年9月に帰国された。 講演では2年7ヶ月のバンカ生活を通じてインドネシアの多様な表情を紹介された。
 顧問として工専の運営指導にあたり、教育の質の改善を図るため、教育の弱点分析、原因の明確化、改善支援を行った。 この作業の中で、インドネシア人の国民性を分析し、「優しい、寛大、笑顔、多弁、計画苦手、時間にルーズ、規律軽視、努力せずに結果を、カンニング横行、汚職天国等々」は、1年中夏という気候、オランダによる350年の愚民政策、イスラム教にあるとの結論であった。 さすがに技術屋としての分析で、「なぜインドネシア人はこうなったか」のか良く理解できた。 工専校長の、日本人の特性「規律を守る、私より公、生甲斐を大切にする等々」を見習って行きたいとの発言は、山野氏の指導や人柄から多くを学んだことが背景にあると思われた。

  2) 「私の夢 ・ Engineer/Teacher/Author」 ・・・ Eka Erzalia さん
 Ekaさんは上記のバンカ工専から海外研修生として川崎重工・船舶カンパニー・基本設計部に来ている20歳の女性である。 山野氏がバンカ工専で進めていた工専の国際化の一環としての川重での研修第一期生である。 片言の日本語、流暢な英語、堂々としたプレゼン、物おじしない明るい性格、誰とでも話できる社交性、スカーフからのぞくにこやかな笑顔、この様な女性がインドネシアにはいるのだと素直に驚かされた。
 プレゼンでは自己紹介に続き工専の問題点「カンニング、汚職、やる気の無さ、ハードワークを嫌がる、満足感に浸る等々」を指摘した。 75%の生徒がカンニングしているというから驚く。 最後に夢は、先ずエンジニアになり、次いで教師、最後は作家になりたいと先をしっかり見据えている。 懇親会では日本語で「花は咲く」を歌ってくれ、エンタテイナーとしての側面も見せてくれた。

  3) 「JICA関西の事業とシニアボランティアについて」 ・・・ 中村彩乃 さん
 中村さんはJICA兵庫デスクの国際協力推進員であり、山野氏がJICAのシニアエキスパートとして派遣された経緯で、JICAについての知識を得るために講演して頂いた。 中村さん自身が青年海外協力隊のメンバーとしてアフリカで過ごした経験もあり、また、インドネシアに1年間の語学留学(ホームステイ)の経験もあるとのこと。
 シニアボランティアとして現在62カ国、464名が海外で活躍中とのこと。 資格は応募時点で69歳以下であることが条件なので、本日の参加者では行きたくても行けない面々が多いが、第二の人生の選択肢として啓発されるものがあった。 中村さんやEkaさんの活動を聞くと、昨今の「女子力」恐るべしという感を新たにした。

  4) 「インドネシアとの学術交流の思い出」 ・・・ 斉藤公男 氏
 斉藤氏は1994年に広島大学大学院国際協力研究科(開発途上国が直面する諸課題に対応出来る開発援助人材の養成が目的)に赴任以来、アジア関連の調査研究プロジェクトに参加され、インドネシアのスラバヤ工大等と学術交流された。
 広島大学に端を発した海上輸送分野における日本とインドネシアとの国際学術交流事業は長期にわたって実施され、事業が終了した現在でも脈々と続いているのは関係者の努力のたまものであろう。

                                                        以上