Gotaas Larsen社はノルウエイ出自の船社、後に社名を縮めてGolar社となりました。
Golar社は長年にわたり多数のタンカーを川崎重工業に発注・建造したがそれらを上図に示します。
その第一船はPATRICIAで、進水に際して船主から褒賞金が出ました。 それを記念して川崎も資金を足し、労組とも相談してホールや会議室を備えた会館が建てられました。 それがパトリシア会館で(1)、いまもKシニアの行事等にも使われています。 またGOLAR
NICHUの NICHUとは「二十」のことで、Golar社が川崎へ発注した20隻目の船という意味で、多数の船がGolarから川崎へ発注されたことを記念して命名されたものです。
上図から、当時のタンカーの大型化と、カタチの変遷(アフトエンジン・アフトブリッジへ)がよくわかります。
船主と造船所の組合せが同一なので変化にも一貫したものが見てとれます。船のカタチは特異なところはなく、普通でオーソドックスですが良いカタチといえます。 GOLAR
NICHU級とGOLAR PATRICIAではプロペラにダクトを装備して推進性能の向上をはかったが、それについてはKシニア会員の岡本洋博士が各誌に発表されました(2)。 主機は川崎式蒸気タービンです。 LNG船出現の初期、川崎はGolar社の発注により日本で最初のLNG船を建造したが、それが上図のGOLAR
SPIRITです。 本船はMoss式でこれもノルウエイと縁が深い。
このような船主と造船所の善良な関係は、相互の信頼関係によって成立すると思うが、市場競争厳しい中でこのように多数、永年続いたのはスゴイことと私は思います。 その後Golar社はLNG船に特化しました。 その船隊中にはGOLAR
SPIRITも健在だが、最近の新造船の多くは、韓国建造のメンブレン式LNG船のようです。
(1) 川崎重工業㈱社史(1959) p155、p738、
(2) 例えば、大型タンカーにおけるダクトプロペラ装備例(岡本他)、関西造船協会誌N153(1974)
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