6 日本列島の歴史
日本列島は、7億年前、ロデイニア超大陸分裂の時、一片の地塊として生まれ、5.5億年頃、北中国に合体し、極東に位置するようになった。 4億年前位から太平洋プレート沈込型、付加体、造山帯として細長い陸地として成長した。 通算4回、日本の下に古い海嶺が沈込み、その都度2000万年継続する大活性活動が起こり、付加体、褶曲山脈、高圧変成岩台地および火山連山が形成された。
Fig.20 日本列島成長の図
約8000万年前に静穏期に入った。 能登半島、山陰、北九州は3億年以前の古地質である。 太平洋沿岸側、東北地方部は西から始めて東へ向かって後から造られた。 石炭紀、三畳紀、ジュラ紀、白亜紀の地質が多く残されている。 1億年前、北米プレートが、3000万年前、フィリッピンプレートが、日本の下に潜り込んだ。 各プレートの押す方向が異なるため、1500万年前、列島は
「くの字」 に曲がり、日本海ができた。 湘南地方や伊豆半島は数十万年前、島嶼が列島に衝突・合体したものである。 図に着色されていないのが、それを示す。
7 生物大量絶滅について
下記の表から、生物大量絶滅は気象温暖、大気汚染、二酸化炭素過剰、温室効果過剰、光合成衰退、酸性雨、植物枯死、海中生物(植物プランクトンを含む)死滅等が発生し、エコロジーのサイクルが壊れた時、温暖期に起こるように思える。 Table
3に生物大量絶滅表を示す。
Table 3 生物大量絶滅表
8 大変動の年表 Table 4
9 「人間の歴史」 と気象
「地球の歴史」 の中で特筆すべきミラクルな事柄は 「人間誕生」 である。 500万年前、東アフリカパルス変動の最中、アフリカのグレートリフトバレーで人間誕生、火と道具を使って氷河期を乗切り、全世界に分布した。 そして20万年前、最も進化した新人(ホモサピエンス)が同じく、アフリカ、グレートリフトバレーに出現し、10万年前にシナイ半島を渡り、ユーラシア大陸に分布、一部はアラスカランドブリッジを経由して南米端にまで至り定住した。 これが私達の祖先である。
ウルム氷河期が終わった1万2000年前に農耕を発明して人口は約5億人に増大した。 1万年前、イプシサーマルが訪れ、地球の温度が現在より2-3度C高くなった。 人類のエモーションが増し、鉄器革命、ユーラシア文化革命が起きた。 侵略戦争が続き、帝国乱立時代が始まった。 けれども気候が寒冷化すると人類の行動は鈍くなり、3-7世紀までは、大きな歴史上の事件は起こらなかった。
8世紀になると温暖化が訪れ、スカンジナビアにも樫の木が繁茂した。 バイキングが船を造って発起し、人間のエモーションが再び燃え上がり、「ヨーロッパ侵略」歴史物語が繰広げられた。 また中央アジアでは、イスラム革命、モンゴル侵略の嵐が吹き荒んだ。 14世紀、地球に寒冷化が訪れ、バイキング事件も終了し、15-17世紀は冒険航海を除き、人類の意欲が萎えたのか、再び、世界史上の大きな出来事は起こらなかった。
そして、温暖期が訪れた18世紀、英国を先駆として産業革命が始まり、19世紀は植民地支配、20世紀は帝国主義の時代となり、そして科学技術革新時代が訪れた。 このように、人類は気象の温暖、寒冷に支配され続けてきたのである。
20世紀後半から、人類は技術力で悪気象を克服し、石油資源を獲得し、今度は地球環境を支配する能力を身に付けた。 人口も 「鰻登り」 の増加を始めた。 地球の資源と環境は悪化し、動植物の生態系が影響を受け、二酸化炭素増の
「温暖化」 問題が生じるようになった。 気象に支配されてきた人類が気象を変えるようになってしまった。 この事実を直視し熟慮する必要がある。
10 エピローグ
本文を書くために、文献を再読し、インターネットを検索した、膨大な地球の歴史を、できるだけ少ない字数、少ない図表に要約するのに苦労した。 かなりのアイテムを省略したが、掲載する世界地図の枚数を増やしたのでファイルのメモリー数が大きくなってしまった。
書き終わって考えると、どうしても書きたいと思いながら割愛した事項がある。 「自然とエコロジーについて」 である。 最後にこれに触れたい。
大昔の地球で、「海・大気」 の二酸化炭素が、酸素に置換されたのはシアノバクテリアの所為であった。 そして現在の海では膨大な動植物プランクトンと海棲動植物が食物連鎖を組んで生命を循環させ、そして光合成が継続され、二酸化炭素は海底に固定されてきた。 陸上でも動植物は光合成・食物連鎖によって、相互生存を継続している。
造山により海に溶けたカルシウム成分は、石灰岩を造って二酸化炭素を海底に固定した。 海水中の余剰な鉄イオンは鉄鉱石となって、これも海底に固定された。 また地中には、好熱性メタン発酵バクテリアが存在して、二酸化炭素や植物遺骸をメタンガスや石油類に変換し固定している。 大気酸素が過剰になると、山火事が自然に発生して酸素量の調整が行われる。
以上のように、地球は酸素、炭素、その他の元素の遊離・回定を反復し、生物は死滅・誕生を繰返し、相互の営みを永久に循環させる仕組みになっている。 正に「輪廻の世界」、「超自然の法則」 「エコロジーの真髄」 である。 この掟を破って、人類は20世紀後半、石油類消費を急増させた。 かつてのローマクラブ 「成長の限界」 事件を思い出す。
石油類(二酸化炭素固定済みの植物遺骸)は人類の利便性向上のために使用され、大気の二酸化炭素過剰と汚染を引起こした。 また、世界の森林で経済性偏重の伐採が急速に進み、生命の生存に不可欠な光合成が減退し始めている。 「温暖化問題」 が惹起するのは当然である。 今後もし、海底の水温、酷寒シベリアの地温が2-3度上昇すれば、メタンハイドレートが気化し、「大温暖化」 を誘発する危険があると云う。 これらすべては、人類の所為である。
「温暖化問題」を解決するには ①消エネルギー対策、②代替エネルギー開発、③光合成回復、④二酸化炭素固定をどのようにシステム化し、実行するかにかかっている。
もう一つ大きな課題は「人口増加問題」(前節既述)である。 人口が100億人を越えたとき、陸上動植物、食物連鎖がどのようになるかは未知の問題である。 「温暖化問題」 の次に現れてくる深刻課題で、前々から云われながら進んでいない。 今からでも世界規模で取組む要がある。
以上で本文を擱筆します。 討論をお願いします。
11 参考文献
1) 生命と地球の歴史 : 丸山茂徳、磯崎行雄;岩波新書、1998
2) プルームテクトニクスと全地球史解読 : 熊沢峰夫、丸山茂徳ほか多人数;岩波書店、2002
3) Worlds Plates : University of Wisconsin – Madison, 2000
http://www.geology.wisc.edu/courses/g109/Additional/world_plates.htm
4) 生命40億年全史 : リチャード・フォーテイ、渡辺政隆訳、草思社、2003
<完>
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