2012.10.22 第18回海友フォーラム懇談会で講演
城野隆史
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欧州は、一般商船の分野では、中国、韓国、日本のアジア勢に圧倒されているものの、海事産業全体でみれば、少なくとも通貨危機以前は、年間売上340億ユーロ(約3.4兆円)もあるという(Leadershio2015)。 これは、造船業だけでなく海事産業トータルの数値であるとはいえ、相当な額である。 確かに一般船の建造量では劣るものの、Cruise
shipなどの船舶のほか、舶用機器メーカー、IMOや船級協会、各所の研究所は頑張っている。
造船産業に新しい展開の方向が見当たらないか、事情を知りたいと、最初に目を通したのがCESA(欧州造船事業連合)のAnnual report
2007-8年版である。 その第2章Leadership2015が目に留まった。 調べたところ、それは、Lisbon戦略と称されるEUの基本産業政策を出発点として造船産業の挑戦すべき方針をEU委員会が専門家を招いて作成した課題解決に向けての提案書であることが分かった。
ところが、2008-9のCESA Annual Reportでは、Leadership2015は消えてなくなり、替わってWaterborne
Technical Platformが登場してきた。 2009-10版でも同じで、もはやLeaderShip2015は、現れていない。 突然、舞台が変わったようで、戸惑ったけれど、調べを進めると、それはLeaderShip2015がなくなったのではなくて、LeaderSHIP2015の提案にこたえて民間部門が作り上げた海事クラスターがWaterborne
TPで、新しく生まれた組織であることが分かった。 この海事クラスター結成にあたっては、CESAが中心的役割を演じており、CESAにとってのR&Dは、そこが新しい舞台となるわけである
。
2006年に産声を上げたWaterborne TPが、2008年になってCESAの年次報告書に書き込まれるようになったのは、その頃ようやく参加業界を増やし資料3で海事クラスターとしてEU委員会に認められる程度に成長したことによるものと思われる。
EUの海事産業政策 Waterborne TP成立の背景など (25ページ、 pdf 0.6MB)
目次
1章 EUについて
2章 産業政策の展開 WaterborneTPの成立まで
3章 政策具現方策
4章 産業政策の新展開 WaterborneTPの成立後の動き
5章 後記
Appendix T Project Europe 2030
Appendix U Europe 2020
Appendix V Europe 2020 Flagship Initiative - Innovation Union
Appendix W Green paper on a future Maritime Policy for EU
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