文責 城野隆史
1. 日 時 : 2019年10月2日(水) 14:00~18:00
会 場 : 川重 海友館新館
2. 参加者 : 20名 (順不同、敬称略)
井澤雄幸、 石津康二、 大柴隆士、 大山正俊、 岡本 洋、 荻野繁之、 小野靖彦、
加藤健二、 小林幹弘、 河合敏雄、 島本幸次郎、 城野隆史、 杉山和雄、
津垣昌一郎 、 富田愼一、 長野 健、 野澤和男、 平田紘士、 増本 敞、 矢木常之、
3. 講 演
1) 「群像 長崎海軍伝習所 ― 近代海軍と造船の発祥にむけて ―」
-- 永井尚志、勝海舟他幕臣から戸田・船大工まで -- ・・・・ 岡本 洋 さん
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江戸末期ペリー来航以降、維新から昭和期に至る、海事人物列伝である。 岡本さんの熱意が伝わってくる講演であった。
外航船の建造と操船能力を自国で保有し、身につけることが肝要であることを知らされ、幕府・新政府はそれに努める。 その過程の各分野に貢献した人物像を、当時の社会背景と共に紹介される。 聞いたことのある方やない方など多数の人物像が示されるので、ここに逐一述べることはできないが、維新の日本の近代産業の育ての親が、現場のたたき上げの中から多くを輩出しているという事実がとても印象に残った。
例えば、ヘダ号を建造した上田寅吉は、伝統的な船大工出身、その彼がオランダ留学で近代造船技術を習得し、わが国造船技術の発展に大きく寄与した。 船大工がヨーロッパへ留学するなんて今では考えようもないことが実現した裏には、船大工というのは単に鋸とカンナなどの道具の扱いが上手というだけでなく、ヘダ号の建造を経験して船の構造・強度、操船などの全体的知識を理解し身につける能力を有していたということにあるように思われる。 実務者が直接産業振興の当事者、指導者になりえたことが日本の成長に大きく寄与しえたことをうかがわせ、そのことがとても印象に残った。 維新の幕僚たちが、彼等にそれをやらせ、彼等もそれに応えて報いたわけだ。 士農工商の枠が取り払われ、蓄積した能力が開花したと言ってもいいだろう。
話を聞いていて、「人の気高さは戦争で養われ平和で使い果たされる」というRuskinの言葉を思い浮かべた。 Ruskinは戦争を礼賛するものでは決してないが、これは事実として認めざるをえないと述べている
。
話は広範で講演者にとっては、言い足りない気持ちが残ったであろうことがしのばれた。
近いうちに全内容がホームペー ジに掲載される予定である。
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次回 : 2020年1月の予定 講演者 石津康二さんの予定
以上
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