野澤和男 海事研究家 工博 元大阪大学
「谷崎潤一郎「細雪」の山津波と最近の豪雨災害の比較・考察」 (pdf 93ページ)
【概要】
近年、日本国内では大雨災害が頻発している。数十年に一度と想定された「大雨特別警報」が条例公布から7年間で計16回発令されている。
この原因として近年の地球温暖化による気温上昇が海面水蒸気蒸発量を増加、積乱雲発生を加速させて大雨の原因となる台風、梅雨前線、線状降水帯の発生を活発化させていることが指摘されている。
約120年間の日本の平均気温のトレンドは+1.26(℃/100年)で気温上昇が明らかである。
谷崎潤一郎「細雪」で有名な83年前の阪神大水害“六甲山の山津波”(昭和13年7月5日)の時と比べて平均気温は約1℃上昇している。 1℃上昇すると水蒸気量は平均で7%上昇すると言われるので「細雪」の大雨災害が今起これば更なる大惨事となると予想される。
著者は長年、谷崎文学、特に小説「細雪」を愛読して山津波の史実や情報を蓄積してきた。 ここでは、現在の大雨災害と細雪の山津波を論考し地球温暖化の諸問題を念頭に置いて両者を比較・考察してみたい。
【内容】
【第1章】 最近の豪雨災害 : 猛烈な大雨災害の発生要因と最近の災害事例
【第2章】 「細雪」山津波の災害 : “細雪”の山津波の小説、水害史実録の考察を述べ、
現在と過去の大雨災害の様相を比較・考察する。
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