船のカタチ(46)  MEGA-CONTAINERSHIP ・・ Significant Ships 2012から
                  APL SOUTHAMPTON (AS船)、 HAMBURG EXPRESS (HE船)、
                  HYUNDAI TOGETHER (HT船)、 CMA CGM MARCO POLO (CM船)

                                                                   2013-10 神田 修治


前回のSignificant Ships of 2011に続き、今回は-2012を見ます。
Significant Ships of 2012では超大型コンテナ船Mega-Containershipの隆盛を感じます。
コンテナ船では甲板上にコンテナをうず高く積上げるので前方視認が問題となるが、コンテナ個数増大に伴い、従来の後方ハウスではハウスを高くせねばならず、橋下をくぐる場合のエアドラフトの問題が出てきます。 そこでブリッジのハウスを前方に移し中央部に設けたセパレートハウスのカタチが出現しました。

上掲のAS船は10000TEU、ハウスは従来方式の後方に一つです。 ハウスは高く9層だがそれでも前方視認線 (visibility) は水平に近く、コンテナ越しに見える海面は遠くなります。 HE船とHT船はどちらも13000TEU、いずれもセパレートハウスのカタチですが、上図からも前方視認の改善がよくわかります。

CM船は16000TEU、Sig. Ship 2012発刊当時では世界最大のコンテナ船で、もちろんセパレートハウスです。
今後はセパレートハウスのカタチが定着し、それが Dominant Design (船のカタチ-38) になってゆくと思います。

Mega-Containershipは10000TEU超という大量のコンテナを積み波のある実海域を23~25ノットの高速で突っ走る巨大船でスゴイものだが、これには高出力高効率の大型デイゼル機関の発達も大きく寄与しています。

高速で、種々の貨物 (雑貨) を運送する定期貨物船 Cargo Liner の発達は荷役速度も含めた速力向上の技術開発の歴史であったと思うが、コンテナ船による高速と超大型化により上掲のように一応の決着というかDominant Designに達したと思います。
23~25ノットは大変な高速といえるが船体も350~400mと長いので、抵抗推進学からはフルード数が0.21~0.22とむしろ中速船といえ、ブロック係数Cbも0.68程度とかなり肥えた船型です。 「大量の貨物を中程度の速度で運送する」という貨物船本来の姿カタチになってきたという気もします。


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