船のカタチ(49)  海上自衛隊の潜水艦、戦後1980年代まで
                  おやしお<1960>、 わかしお<1962>、 あさしお<1966>、
                  うずしお<1971>、 もちしお<1977>

                                                                   2014-01 神田 修治


謹賀新年  今後何回か潜水艦のカタチを見ます。 今回は海上自衛隊(JMSDF)の潜水艦。

潜水艦の強みは見つかりにくいこと(隠密性、STEALTH)です。 海中は光も電波もほとんど届かず音波が唯一の探知メディアだが、海面からの音波は海水温度等の分布により屈折し海面の方へ戻るので、深く潜った潜水艦を水上から探知することは音波でも困難なのです。 だから潜水艦では潜航深度が重要でこれは 「防衛秘」 とされています。 潜水艦を探知し制圧する有効な手段はコチラも潜って音波探知し行動することで、いわゆる「潜水艦vs潜水艦」であり、これが、日本が潜水艦を保有する理由のひとつと思います。 報道で「国籍不明の潜水艦が日本領海を侵犯したが、あと退去した」と聞くことあるが、これは日本潜水艦が怪しい潜水艦を探知・制圧して退去を余儀なくさせたもので、日本潜水艦のオペレーションが成功した結果と見るべきと私は思います。

近年の潜水艦は水中オペレーションが主体なのでそのカタチは上部構造も含め全体が流線形で、ほとんど理詰めで決まります。理詰めといってもカタチが一つに決まるというわけではありません。大きさ、速力、運動性等の要求に応じたコンプロマイズがあり、技術の発達もあって様々のカタチが出現し、発展してきました。

 おやしお <1960> は戦後最初の潜水艦で水中高速を狙いとしました。
 わかしお <1962> は対潜潜水艦、音波兵器ソナーが強くSubmarine Killer(SSK)とも言われました。
 あさしお <1966> は水上航走性能も重視した航洋型として、大型でLも長くSSLとも呼ばれました。
 うずしお <1971> は水中航走の抵抗低減、運動性能向上のため船型は紡錘型(涙滴型)とされました。
 もちしお <1977> はうずしお型の性能向上型でLが少し長く、中央部に平行部(パラレルボディ)がある。

上図中、 Δts:基準排水量(トン)、 Δt:水中排水量(トン)、 kn:水中速力(ノット)、 kn:水上速力(ノット)です。

私事ですが、むかし私は川崎重工業でこれらの潜水艦の、主として艤装設計業務に関係しました。
私たちは旧海軍の技術を踏まえ、米潜水艦に多くを学び、これらの艦を開発したといえると思います。

    参考資料 : 特集・海上自衛隊の潜水艦、 世界の艦船 2012-10


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