船のカタチ(74)  海上保安庁 代表的船艇
                 だいせん <2001> ・ つがる <1979> 級、 みずほ <1986> 級、
                 いず <1997>、 みうら <1998 > 級、 あきつしま <2013> 級
                                                                   2016-02 神田 修治
 図中、左側は正横側面図、右側は船首・右舷から見た図を示す。   参考資料. 特記の他 海上保安庁ハンドブック 海人社2001


海上保安庁(海保)の代表的船艇として、就役当時世間の話題となった船艇を示します。 これらは概して大型です。
前回記したように海保巡視船の役割・機能を具体的に規定することは難しく、まずは発生した事案に対応することが要求され、船艇もそれに応じて設計されてきたと思います。 それは例えば国際条約加盟やプルトニウム輸送の保安等、国際情勢や社会動向への対応とか阪神・淡路震災や東日本震災・津波等の自然災害対応であったと思います。 それらの経験の蓄積のなかから海保任務の考え方や、船艇の役割や設計思想が確立されてきたのであろうと私は思います。

つがる<1979>級だいせん ・・・ 新海洋秩序に対応し、ヘリコプター1機を搭載し機動的なオペレーションができる大型船。 だいせんつがる級(船のカタチ-73)として役割・要目は同じだが、近代化を図り、船体線図も新開発の新型船。
みずほやしま ・・・ SAR(注)条約加入に対応し、広域哨戒型として建造。 つがる級より大型でヘリコプター2機搭載。
いず<1997> ・・・ 阪神・淡路震災の経験から指揮・通信・情報処理機能や医療・宿泊設備を充実した災害対応型。
みうら<1998>、こじま<1993> ・・・ みうら は海上保安学校、こじま は海上保安大学校の練習船として運用。
しきしまあきつしま ・・・ 海保保有船の最大船型、ヘリコプター2機搭載、海保の代表船Flag Shipともいえる船。
しきしま は1992年プルトニウム輸送船の護衛のために建造されたが、広域遠距離運用能力が重用され、種々の任務に運用されました。 その運用実績がよいことから広域哨戒、尖閣警備、ソマリア沖海賊等の事案に対応するため、2013年同型船 あきつしま が建造されました。 これら両船は排水量6500Δt(排水量)の大型船であり、米国コーストガードUSCGの最大船BERTHOLF(排水量4500Δt-後述)より大きく、現在世界最大の巡視船であります。

以上は海保を代表する船たちであり、海保船艇のほんの一部です。 実際には、日本周辺で日常発生する海上事故等に対応する巡視船艇、領海境界警備のための高速船艇、海図整備等のための測量船艇等々多種・多数の船艇が日夜活動しています。 これらについて以後数回にわたり取上げてゆきます。

  (注) SAR条約 : International Convention on Search and Rescue (IMO) 
             海上における捜索および救助に関する国際条約



船のカタチ(73)へ      目次に戻る      船のカタチ(75)へ