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チロル紀行  旅の概要  その3 (ボルツァーノ)
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<ボルツァーノ>
 南チロルの中心地ボルツァーノは、人口10万程度の中都市で、メラーノに比べ大きな町である。 駅前のビジネスホテルのようなところが、安いし便利そうなので、アプローチしたが返事は来ない。 ネットが発達してどんなホテルでもホームページを持っている時代であるが、中には、昨年のレートがそのままになっているなどせっかく作ったホームページをまともにメンテナンスできていないホテルもある。 

 また、人並みにHPは出したものの、もっぱら地元のリピータ志向なのだろうか、日本から英語でアプローチしたのでは返事のこないところもある。 ほとんどのところは、問い合わせを出すと、返事はあるが、直ちに折り返しの返事のあるところと、数日遅れて反応のあるところとがある。 ホームページは専門家に作らせるから、見た目には格好がいいので、画面からだけでは、この辺の事情は、分からない。 三ツ星以下ではこういうことがままある。 あとになって考えてみるに、愛想よく何かと問い合わせに応じてくれたホテルの主人は、英語が上手である。

 北ヨーロッパではそのような経験はまずないが、ポルトガル、ハンガリー、チェコなどの安宿に問い合わせた時には、時にこのような経験をしたものだ。 でも10年前に比べれば、格段に便利になった。 Booking.com などの大手ホテル手配のサイトを利用すれば、至極簡単に予約できるし、経験上失敗はなく、また中にはもっぱら業者任せのホテルもある。 しかし、業者経由では満室でもホテルに直接申し込めば空室があったり、またその逆もある。 小さな安いホテル探しにもそれなりの手間はかかる。

 ところで、予約したHotel Cittaは、旧市街の中心ヴァルター広場に面した中級ホテルで駅から数分のところにある。 場所が便利なだけに、この旅で泊まったホテルの最高価格(159ユーロ)であった。 すぐにわかると高をくくっていたが、ヴァルター広場から見渡しても、同じような建物が広場を取り囲み、どれがどれやらわからない。 観光案内所の娘さんが通りまで出てきて指さし「あのピンクの建物だ」と教えてくれる。 行ってみても、そこはCafeである。 とてもホテルとは思えない。 ボーイに聞けば、ここだと地面を指さす。 入り口はどこかと問えば、親指を立てて裏側に回れとのジェスチャー。 広場の裏側の角に小さなドアーからおそるおそる入ってみると、フロントがあり、愛想よくまだ午前中なのに部屋へ通してくれた。 

 看板の一つも出ていればわかるのにと思ったけれど、あとになって考えると、広場を取り囲む周りの建物に大きな看板は見当たらないのは、美観維持のため何らかの規制があるのではないかと思える。 瀟洒な部屋である。 丁度下の Cafe の真上に当たるが、騒音は聞こえない。

南チロルの中心都市 BOLZANO 戦勝記念碑
 タルファー川の東側は、もとドイツ語圏の旧市街、川の向こうには凱旋門のような戦勝記念碑があり、その向こうはイタリア式新市街地である。

  ファッシズム時代からの抗争の歴史が刻みこまれているのだが、現在は能天気な観光客であふれかえっている。

 レストランの前に通りに面して並んだテーブルは、どこも満席。 イタリア圏に来たのだから、ピザくらい食べてみようと適当にその中の一つに入ると、立派な部屋の中はガラガラ。 客は少しでも外に出たがるものらしい。

 二人で一つのピザをshare。 周りの席には、このあたりの勤め人らしい若い男女が多い。
 みな大きなお皿のピザやパスタを一皿とって、会話しながら食べている。 よくあんな大きいものを食べられるなあと感心してみているが、決して彼らの食べ方が早いわけではない。 会話しながら、30分から1時間ほども悠々と食べているうちに食べ終わるのだ。 要するに会話を楽しみ、ゆっくり食べるのだ。 だから、あれだけ食べられると納得した。 そこへ行くと私たちはどうだろう。 会話もなくただパクパクと手早く食べてしまい、おなか一杯と叫びながら、席を立つのだ。 風情のないこと甚だしい。

 長いアーケード街を通り途中の大きな本屋で明日から行く山岳地方の1/25,000地図を3種購入。 途中果物市場と称される食料品の屋台広場を通り抜け、ファルター橋に至る。 その手前に、考古学博物館というのがあって、入場を待つ人たちで長蛇の列ができている。 そこには入らず、川沿いの遊歩道を、山裾にあるらしい古城を目指して歩き始めるが、後ろから私の歩く姿を見ている家内は、私の歩く姿勢がだんだん悪くなってくるのを心配して、戻ろう、戻ろうとうるさく主張。 確かに、膝は痛むのだが、行けるところまで行ってみようという気持ちの方が強い。 でも、まあ長い旅だからと妥協。

BOLZANO ドロミテへの入り口 果物市場
 堤防を降りて住宅街の中を戻れば、また果物市場に出た。 色とりどりの果物、チーズ、パン、野菜、などなど買い込みたいものが山ほどあるが、旅の途中で消費できる量には限りがある。 屋台めぐりは、どこへ行っても興味尽きない。
 結局、夕食用に果物、パンなどを少し買う。 果物がとても新鮮で、安価。 もっと買えばよかったと思うくらいおいしかった。

 長旅となると、洗濯は避けて通れない。 海外出張などでは、ホテルの浴室で下着や靴下を自分で洗濯するのが習慣になっていたが、毎日のように移動するキャンペーンなどの時には、洗濯の時間がなくて困ったものだ。
 今回のような個人旅行では、時間があるので困ることはないが、上着やズボンは、旅行中自分で洗うのは難しい。
 ホテルに頼めばできないことはないが、結構な出費である。 学生時代、山岳部にいた経験から、着たきり雀は当たり前で、何より荷物を少なくすることを優先する習慣が身に付いた。 今では、さすがに予備を一着加えるけれど、一か月足らずの旅行では、洗濯しなくてもそれで十分と考えている。 しかし女性は、そうはいかない。 ホテルの高価なランドリー・サービスを使うのも嫌だし、洗濯はしたし。 つまりは、コインランドリーを探すことになる。

 インスブルクのホテルには、自動洗濯機が置いてあったが、まだ、置いているホテルの方がまれである。 そこで、街のコインランドリーを探すことになる。 いざとなるとすぐには目に留まらないものである。 今朝も、家内に洗濯をしたいとて、コインランドリーをさがせと命じられた。 フロントに聞けば、地図の上にしるしをして教えてくれた。 地元の人が考えるほどに、慣れない旧市街のデフォルメされた地図では、土地勘が働かないが、何とか見つけた。 見つけたけれど洗剤の買い方や、マシーンの動かし方など、ケースバイケースである。 周りに人がいないときなど、注意書きの字が読めないので難渋することが多いが、毎度あてずっぽうにいじっているうちに何とかなるものである。

 洗濯ができるまでの間、近くの川の沿いのカフェで待つ。 大きな並木の下に古びた木のテーブルが並んでいる。 そのうちに爺さんが、次々やってきて議論を始めた。 何を話しているのやら皆目わからぬが、至極大真面目である。 本当に話好きだ。 一杯のカプチーノを前にして、長々としゃべるのが楽しみなのだろう。 カプチーノは100円くらいである。 100円なら毎日ここへきて仲間と話すのは可能なのだろう。 日本でも100円でコーヒーが飲めたら、老人は集まるであろうか。 ひとりスポーツ新聞を読むだけならつまらない。

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