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チロル紀行  旅の概要  その6 (ドロミテ CORTINA)
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ドロミテ CORTINA>
 Corvaraに3泊して次はコルチナに移動という前日、バスに時間を確認しようと観光案内所に行くと、明日からファルツァレーゴ峠のコルチナ側のバスは運航中止だと告げられた。 昨日までおくびにも出さなかったのに突然でびっくりした。 私たちも今朝知ったばかりなのでと言い訳するが、そんなことが前もって知らされないくらい峠を一つ越えるとまるで別の国だ。

 ホテルに帰って相談すると、峠まで、コルチナから迎えのタクシーをアレンジしてくれたので、バスからタクシーに乗り継ぐことにした。Corvaraからあくまでもバスと列車だけでいけないことはないが、とても遠回りになる。
 ドロミテの奥地では、9月半ばにはホテルを閉じ、11月ごろからの冬のスキーシーズンに備えるための設備の補修や改装を行うのが通例のようなのである。私たちは、ぎりぎりの時期に来たことになる。コルティな地区は一足早く休みに入ったのであろう。

 ファルツァレーゴ峠の横の山は古戦場で有名、ロープウェーもついているので、Corvara とCortinaの両側からバスが出ているけれど、同じバス会社(ドロミテバス)でありながら、ダイアについては、お互いはまるで無関心のようである。 峠に着いたら、運転手が声をかけてきた。 東洋人は、一人もいないから見分けるのは容易に違いない。 峠では、雨が降り始め、山はガスっているのでロープウェーで上がるのやめにしてすぐにホテルに向かう。 45ユーロの出費で済んだ。正午前にCortinaに着いたけれど、本降りになり始め、ホテルで沈殿。

 雨だし、域内バスはストップだし、4泊予定のコルチナ滞在を半分に切り上げ、残りの2日をミズリーナ泊まりに変更しようと考えた。  観光案内所に行ってどこに泊まるか調べる。心よく応じてくれる。驚いたことにミズリーナで最高級のホテルがどうしたことか、3食付で一泊二人で128ユーロとハイシーズンの値段からは考えられない安さ。即決する。

 その日は、ホテルを手配しただけで、あとは久しぶりの休息。 屋根裏部屋だが、広くてのんびりできる。 だけど、急にひんやりして寒い。

昨日の雨、山上では雪


 次の日、午後には雨が上がったので、最寄のロープウェーで山に上がってみたが、山の上は雪で地面は凍りつき寒いこと。震えてしまいすぐに折り返し下山。 街に降りて散歩して過ごす。


Cortina d’Ampezzo


 コルチナダンッペツォは冬季オリンピック会場でもあったので、日本でも名の知れたリゾートであるが、小さな町である。

 さすがに観光客も少なく、なんとなく静かである。 久しぶりに、観光案内所が勧めてくれたイタリアン・レストランでピザを食す。 地元の人でにぎわっている。


Tofana 山へのロープウェーの途中から


 2日目には晴れてきた。 目の前の高い岩山の頂上近くまでもう一つのロープウェーが伸びているのが見える。

 Tofana de Mezzo3244mである。 頂上駅から山頂まで木製階段があって、頂上は手の届くように見えるが、ここも雪が積もって駅横のテラスから上へは上がれない。

Tofana 山 3244m


 係員が除雪しているが、遅々として進まずいつ通れるようになるかわからない。 天気は快晴。 眺望だけ満喫して下山する。 正午バスはないので、迎えのタクシーでミズリーナに向かう。 20分ほどで到着(40ユーロ)。

TofaneからCristallo2932mを望む


 昨日の運転手ジョージは数人で、コルティナでタクシーというかハイヤー業をやっていて、ランドローバーなども持っている。 観光客をあちこちに連れて行ったりしているようだ。 ホテルのフロントに来てコーヒー飲んで油を売り、情報の仕入れに熱心。

 この日彼は、インスブルクまで日本人客を乗せて行ったとかで、別の英語の話せない運ちゃんであったが、私たち貧乏人には、とてもインスブルクまでタクシーで行くなんて考えられない。 日本人とみれば金持ちと思われるわけだ。

Misurina湖 Grand Hotel


 ミズリーナ・グランド・ホテルは、日本でも湖を前景にした広告写真で見かけることのある有名ホテルである。

 通された部屋は大きな寝室二部屋、子供用の2段ベッド室、トイレも二つのスイートである。食事は3食とafternoon tea付である。

 私たちのような個人客は少ない。ほとんどが団体客なのだ。食事もビュッフェ式。個人客は夕食だけが指定席で別メニュー。

 要するに、シーズンオフに入って団体客相手の安売りを開始したのだ、それに私たちは便乗したことになる。



 昨年行ったイギリスBuxtonのPalace Hotelも、石造りの昔の宮殿のような立派な造りのホテルだったが、早期予約で4日以上の宿泊に対しては、中級ホテルと変わらない安さであった。 古い遺産のような見かけは立派なホテルをイギリス中に展開するホテルチェーンが経営していて、運営はかなりビジネスライクで、慇懃なベルマンがいるわけでもない。 ミズリーナ・グランド・ホテルもその類のように見えた。

 観光案内所も開いていない。 バス乗り場もわからぬ。 地元の人があそこだと指さす方向には、バス停のポールは見えない。 しかし、よく見ると道路の上に四角くバスの停車エリアが黄色い線で描いてある。 どうもそこがバス停らしい。 ホテルの部屋から眺めていると確かにバスが時々停っている。
 外に出たついでに湖を1周する。 突き出た岩山と、池の周りの森林を映す湖面は、静か。 翌朝、日の出前の一瞬、山肌がMorgenrot に染まる。

Tre Cime (2857m、2999m、2973m)

 次の日は、あさ08.25のバスでDrei Zinnenに向かう。 2999m、2973m、2536mの垂直に切り立った箱のような岩山が隣り合って聳える観光名所である。 これを1周することは、この旅の目玉でもあった。 バスは20分ほどでAuronzo小屋の下の駐車場に着く。 名所だけあって駐車場も広い。 土曜日とあってハイキング客も多い。 山を見て歩くだけだから、本格的登山スタイルの者はいない。

 のんびりとした家族連れや高齢者も多い。 快晴である。 小屋で降りてから、ほぼ水平に広い道を30分ほど歩いて、Lavaredo小屋の手前から左の峠に向かって斜面を登ること約30分。 水平道から見えるDrei Zinnenの南面は、ただのガレた岩山である。
 峠に出ると初めてDrei Zinnenの威容を眼前に見ることができる。峠の西側に三つの岩峰が並んでいるのを斜め横から見ることになる。
   

 峠の向こうには荒れ地が見下ろせる。 この荒れ地の中を反時計回りにDrei Zinnenを1周するのが今日の目的である。 細いハイキング道を下り始めると、向こうから老夫婦が戻ってくる。 どうしたのかと問えば、Snow! Too slippy! と。

 ほとんどの人は、峠で引き返し、若い人たちだけが峠を越えて周回コースを目指して行った。 この老夫婦も私たちと同じように若者に交じって周回コースを歩くつもりだったのだろう。 私たちも雪が残っているとは全く予期していないし、備えをしていなかった。 膝が悪く、バネが効かず、棒のような脚では、凍った雪面を歩く困難さは、よくわかっている。 聞いただけで、その先を行くのはあきらめた。
  時には雨にたたられ、ドロミテを網羅できたわけではないけれど、痛むひざ裏筋肉を引き下げてのwalkingであるから、たいして距離は稼げないが、堪能した。 でも、Drei Zinnen周回コースだけは、何とか再挑戦したいと思う。
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