日本船舶海洋工学会 関西支部 海友フォーラム K シ ニ ア
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海友フォーラム 第22回懇談会 報告

文責 城野隆史

1. 日時 : 2013年10月15(火) 14:00~18:00
   会場 : 川重 パトリシア会館

2. 参加者 : 17名  (敬称略) 
        井澤雄幸、 太田紀一、 大山正俊、 岡 正志、 岡本 洋、 小寺元雄、 河合敏夫、
        高坂 明、 城野隆史、 津垣昌一郎、 長野 健、 福地幹雄、 藤村 洋、 増本 敞、
        矢木常之、 山中幸一、 山中直樹
        

3. 事務連絡事項

    会員異動 : 入会者:工藤栄介さん

4. 講演
  1. 私の社会人史 太田紀一さん
    三井造船および退職後の職歴の紹介と言ってしまえばそれまでであるが、その多岐にわたること!
   しかも、自己推薦、自己志願で職場を変わってゆかれたのである。 ヤード設計から始まって、基本
   設計、検査、建造主任、海外駐在、営業、それも海洋構造物、地方公共事業、海上自衛艦等の多岐
   部門にわたる。 退職後は、会社を育てては後任に任せ、現在三社目を手がけておられる。 よくも
   まあ、こんなにこなしてこられたものだと、驚くばかり。 結局自分は、設計に向いていなかったのだ
   との述懐であるが、とにかく日本人離れしている。
    海洋構造物建設用Heavy lifter建造の話の中で「コンセプト」の重要性を強調された。
   日本の造船所は、与えられたコンセプトを展開してものにするのは得意だが「構想力」に乏しかった
   という反省である。 コンテナ船、LNG船においてもしかり、返す言葉もない。 建造主任として苦労
   されての実感であろう。 このことは、造船業だけではない、日本の失われた20年の大きな要因と
   なっている国民的課題といえよう。 構想力は、現場、すなわちニーズから生まれる。 現場に身を
   置いて奮闘されてきた太田さんならではの実感と伺った。

  2. 歴史ロマンと強国の相克の中央アジア 岡本 洋さん
     この夏、行かれたウズベキスタンの古都ブハラと首都サマルカンドの旅を敷衍された話で、主に
    シルクロードの歴史と、旅の写真とからなる。 シルクロードと言えば、なんだか東海道とか中山道
    といったような具体的な街道を想起するけれど、どうもそんなものではないらしい。 シルクロードと
    いう言葉は、後代作られた造語で、要するに大航海時代に至るまでのおおよそ3000~4000年前
    から、東西交易に通ったオアシスを結ぶ通路網として大きくとらえた方がよいようだ。 ジンギスカン
    が駆けめぐった広大な地域であるが、メルカトール図法でかかれた地図から受ける印象ほどには、
    広くないのではないかという指摘もあり、なるほどと思った。
     ブハラもタシケントも写真で見る限りでは、とても美しい整備された都会という感じであり、人々の
    表情も明るい。 なんだかシルクロードという名称から受けるノスタルジックな感覚には無縁なように
    思えた。
     ところで、シルクロードは、中央から南西に向けてペルシャ方面に向かうものとされて、そこを
    アレクサンダー大王が攻めあがったとされるけれど、まっすぐ西へアラル海とカスピ海を渡って
    ヨーロッパに向かうという異論があるのだそうだ。
     中国奥地の砂漠と山岳地帯を越えたその向こうの中央アジアと称される地域は、キルギス、
    タジキスタン、トルクメニスタン、カザフスタン、ウズベキスタンの5カ国からなる。 個々の国名は
    聞いてはいるが、中央アジア5カ国を挙げよといわれても即座に答えられるかどうかおぼつかない
    地帯であったが、少しだけまとまりのある地域としてイメージできるようになった。

5. その他
     経産省原発事故収束対応室が福島第一原発の汚染水対策案のアイディア募集をしていることを
    知った河合敏雄さんから中古VLCCを用いた汚染水の海上貯蔵の案を準備中で、近々提出予定で
    あるとの紹介があった。 中古VLCCでなくても洋上貯蔵には条件次第でいろいろな手だては考え
    られる。 関西空港建設で経験したような建設業中心の体制に、この案がどこまで通じるか、など
    議論が盛り上がった。
     漁業や外交など関連省庁との関連も強く、実施体制そのものが問われるという見解も出たけれど
    も、河合さんの努力に期待が寄せられた。

6. 次回予定
     第23回懇談会 2014年1月中旬  
        題目 : 1.「技術開発のお国事情(未定)」     水谷さん
              2.「インド・スリランカ方面の話(未定)」  山中幸一さん

                                                        以上