日本船舶海洋工学会 関西支部 海友フォーラム K シ ニ ア
Kシニア の トップに戻る 海友フォーラム の トップに戻る 2017年 の トップに戻る


海友フォーラム 第31回懇談会 報告

文責 城野隆史

1. 日 時 : 2017年1月18日(水) 14:00~19:00
   会 場 : 川重 海友館新館

2. 参加者 : 26名   (順不同、敬称略) 
         井沢雄幸、 石津康二、 伊藤政光、 大柴隆士(新規加入)、 岡本 洋、 荻野繁之、
         小野靖彦、 加藤健二、 河合敏夫、 小嶋良一、 小林幹弘、 城野隆史、 杉山和雄、
         杉本 健、 津垣昌一郎、 長野 健、 野澤和男、 濵 巌、 濱田孝一、 濵田 淑、
         平田紘士、 藤村 洋、 増本 彰、 増本 敞、 矢木常之、 山野惟夫

3. 講 演


  1) 輸送システム開発におけるリスク管理の四方山話 ・・・・・ 増本 彰 さん
 生産者側からすると安全は、設計条件、適用法規、基準の設定が妥当であれば、安全性は保たれていると考えるものだが、安全性の議論は、技術の延長上にあるのではなくて、自然科学と人間科学の中間を占める独立した分野である。 例えば、安全の根拠は、人間が100年生きるとして、ほぼ10 時間に1度すなわち10-6 許容頻度の基準とし、それを仕事とする者は危険性を認識しているので一桁落として10-5、それから何の利益も得ない無関係のものには10-7というように数値基準が世界の暗黙の了解事項である。
 安全規格の中でもその思想中心となるのがアメリカのMIL-STD-882Cである。 聞いている時は分かったような気になっていても、ずいぶんむつかしい話である。 自分で基本ルールを読みかつ実例を計算してみないと、納得できるようなものではなかった。

  2) 伊勢大湊の木造船造船資料について ・・・・・ 伊藤政光 さん
 伊勢の大湊という伊勢市の海岸部の砂州の根元に川が流れ、その先が島になっている。 その川の両岸に、江戸時代から木造船生産業が集積していた。 その中で、市川造船所は、元禄15年(1702)創業、昭和53年(1978)に倒産するが、労働組合が労務債権として残していた造船資料が伊勢市に寄贈された。 おかげで膨大かつ貴重な資料が温存された。 それに基づき伊勢大湊の造船業の盛衰や代表的船舶の紹介があった。
 なぜこのような物資流通の中心から外れた地で、造船業がこんなにも長く繁栄したのか、にもかかわらず、消滅してしまったのか不思議である。 まず考えられるのは、紀州山地から筏で運べる、木材入手の容易さがあったのではないか。 また孤立した地域であったので、そこで技術が完結し、鋼船への切り替えが遅れたためではないかと思った次第。

  追記 : 次回は 4月に、石津康二さん と 野澤和男さん に 話していただく予定です。


                                                        以上