日本船舶海洋工学会 関西支部 海友フォーラム K シ ニ ア
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「フィンランドを訪ねて」
- オルキルオト島の使用済み核燃料地下処分プロジェクトに学び、日本の核燃料サイクルを考える -

2018年1月18日 第34回海友フォ-ラム懇談会で講演 島本孝次郎


「フィンランドを訪ねて」 - 講演パワーポイント (32画面を16ページのpdfで出力)

経緯  
   少し前に、10日間ほどフィンランドを訪れた。 きっかけは、私の知人が「フィンランドのオウルという北方の町で学会・講演会が開催されるので一緒に行かないか」と誘われた。 私にとってフィンランドは未訪問の国なので、早速行くことにした。 
 一方、フィンランドは“原発の使用済み核燃料の地下処分に取り組んでいる“と仄聞していたので、出発前にフィンランドの原子力規制局(STUK)にオルキルオト島に有る核燃料最終処分施設「オンカロ」についてメールで質問し、現地を訪問したいと申し出ると、早速現地にある電力会社(TVO)の然るべきマネジャーを紹介してくれた。

はじめに
   フィンランドの紹介。 歴史、地理、人口、世界一の教育レベル、女性の社会的活動、湖と森の牧歌的風景、etc---。 電力需要、原発の現状、建造中の原発など、簡単な紹介。

前 編
   フィンランドが“使用済み核燃料の地下処分”の検討を始めたのは約40年前。 10万年間の地下埋蔵の保証をすべく、岩盤・土質調査、廃棄物の格納キャニスターなどの開発・研究を行い、1995年Posiva社を設立した。
 ヘルシンキ北西250Kmのオルキルオト島を候補地として決め、政府、現地の承認・協力を得て、現在、地下数百メートル、全長数十キロメートルの洞窟の掘削を行っている。 2020年以降に埋蔵開始の予定。

後 編
   日本の現状 : 青森県・六ヶ所村の“使用済み核燃料再処理装置”は1993年着工以来、20回以上、完工が延期され、2兆円を投入しているが未だに稼働していない。 一方、高速増殖炉「もんじゅ」は一昨年末廃炉が決定された。 次世代の高速(増殖)炉を建設するとのことだが、それには実験炉・原型炉の開発を含め、商業運転には20~30年はかかるであろう。 日本の各原発ヤードには使用済核燃料の中間貯蔵プールが有るが、その貯蔵能力は合計で約2万トン。 既にその約80%が占拠されており、持って行き場が無く困っている。

 仮に、六ヶ所村の再処理装置がフル稼働したとしても、その処理能力は年間最大800トンしかない。 現状手持ちの使用済み核燃料は1万数千トンありので、これを再処理するには20年はかかる。 再処理して得られるプルトニウム(Pu)は使用済み核燃料の1%なので、20年間の再処理・フル稼働で100数十トンのPuが得られる。 その間稼働している原発は少数であろう。 現在稼働中の伊方原発で使用するMOX燃料のうちPuとしての消費はたった年間に0.1トン。 再処理したPuはとても使い切れない。 また、再処理後に取り出したMOX燃料はコストが高騰して、採算に合わないことは複数の試算や実績が出ている。

まとめ
    “使用済み核燃料”および“福島などの原発の廃炉から出る高レベル廃棄物”は、我々が既に使用した“原発による電力”の「次世代への負の遺産である」ということ思い、真剣に取り組むべき緊急の課題である。
 私は、日本の“核燃料サイクル計画”を見直し、使用済み核燃料の再処理をヤメ、高速(増殖)炉の建設もヤメて、“フィンランド式直接処分(ワンスルー)方式”を検討すべきであると思う
 フィンランドで世界最初の“使用済み核燃料の地下処分プロジェクト“の取り組みを現地見学し、学ぶべきことは多いと実感した。

以上