日本船舶海洋工学会 関西支部 海友フォーラム K シ ニ ア
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<Appendix 1> スペイン、オスロ、ロンドンの旅 (November 1999)総括

 今回の旅行は、Spain、Oslo, Londonそれぞれに特徴のある経験が出来て大変楽しい思い出になった。

 Spainは始めてであったが、思いのほかの文明国であった。 鉄道、道路は整備され、Hotelもしっかりしている。 Credit Cardも安心して使える。 しかし庶民はそんなに裕福そうには見えない。 少数のエリートが社会を動かし、巷に行き来する一般庶民は長い文化の重なりの上に悠々と暮らしている風である。 フランスやイギリスから見ると田舎者の国と映るのだろうが、当のSpain人はお構いなく愛想が良い。

 アンダルシアを一ヶ所に2泊しながらゆっくりと回る事は、常々夢見ていた事であったが、それが意外に容易に思いがけなく実現した。 思っていると何かのきっかけで、意識しなくても事態はそのように動いて行くものである。 だから、いつも思っている事が大切である。 実現する確率は低くても、思いがなければ何も起こらない。

 Alhambra宮殿は、思い描いていたImageより俗っぽかったが、水盆に流れる水音は、静かさと涼しさを演出し、西洋キリスト教文明と根本的に異なるIslamの風情を感じさせてくれる。
 イスラムのモスクとキリスト教の聖堂が一つの建物に混在するメスキータは異様であった。 11月というのに晴れ晴れとした空の青さと、すきとおった陽射しに映える花々、西部の大平原もかくありなんと思わせる広大な台地とオリーブの木。 狭くグネグネ曲がった白壁のユダヤ人街。 随分歩き回ったけれども、まだSpainの空気を存分に吸いきれていない。 再訪したいと思わせる国である。

 Osloでは、着いたあくる日に初雪が降った。 Holmenkollen Park Hotelには一度は泊まってみたいと思っていたところだ。 これまで泊まった4つのHotelはDown townばかり、それも泊まるだけ。 いつも次の日の仕事の予定が頭にあり、寝るだけのhotelであったが、今回は、そのような拘束はない。 立派なHotelでNorthern Sea Routeの開発という学術会議に完全にプライベートに参加し、急き立てられるようなイラダチもない。 これまでなら情勢判断してどのように会社へ報告すべきか、参加者の誰と面識を持つべきか、他社の動向はどうか、現状の課題は何か、などなど心の休まる間もなく気ばかりが走ったものだ。

 ロシアには、北極海を自国のものとする強いセンチメントがある。 氷海航行技術や砕氷船建造技術に大いなる自信を示すが、何しろ金がない、船隊も老朽化してくる。 自国の支配圏を維持したまま、西側を誘い込みたいが、西側は実行可能性に懐疑的である。 Norwayは、ロシアの窮状に乗じて何とか、海上交通に影響力を持ちたい。 ロシアとの間に領海上の争いもある。 このようなProjectなど様々なchannelを通じて長い目で、将来の外交的影響力の形成に抜け目がない。

 そこへゆくと日本が最もお人好しに見える。 人と金を多分に出し、まじめに研究しながら、外交的目論見は何処にあるのであろうか。 ロシア、Norwayなどに人脈が出来ただけで喜んでいる節が感じられる。 INSROPを仕組んだナンセン研究所の企画力を見習わなければならない。
 Conference、日本財団、ロシア政府、ノルウェー政府それぞれの主催するreception、最後の夜のBanquetなど、Party続きではあったが、今回はゆっくりとそれを楽しむ事が出来た。 道子もおじけることなく、のびのび振る舞っていたが、またとない経験をした事だろう。

 Londonでは、英国のCountry sideに関する地図やGuide book、Toynbee, Agatha Christie, Estonia関連、その他の小説など、本をたくさん買った事、Musical:美女と野獣を見た事、Kew Gardenに行った事など、充実感のある滞在であった。 これまで何度も来ているので、足し合わせば結構あれこれと経験は積んでいるが、一回の滞在でみれば、お土産を買うのにバタバタして、慌てて帰った印象の方が強い。 London滞在が旅の最終地点になる事が多く、今回もそうで、お土産調達に時間を食いはしたけれども、思い出多い経験を積む事が出来た。
 総費用は、お土産とConference feeを入れても、約100万円。 結構安くいけた。 Pack旅行のチラシを見ると、あのような強行軍では移動に殆どの時間を取られ、バスでHotelからHotelへ運ばれ、窓から景色を見て帰るだけで精一杯のように見える。 それ以下の費用で、ゆっくりその地の空気を味わえる自前旅行は成功であった。

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