今回から貨物船、特に定期貨物船 Cargo Liner について見てゆきます。
ここでも前出の 船のカタチ(1) と同様に1930年代から入りたいと思います。
1930年代は優秀船が続出し、日本の定期貨物船界にとっても重要な年代であったといえます。
OSK の畿内丸型(長崎)につづき NYK の能登丸型(長崎)、さらに K-Line の神川丸型(川崎)が建造されたが、これらはニューヨーク航路に就航し、世界的にも最高水準の性能であったといえます。 デイゼル中央機関、ハウスも中央で、その前後に各3区画の貨物倉があり、バランスの良いカタチと思います。 ところで性能優秀な船は良いカタチをしているという説があり、私も同感です。 しかしそれにはどんな根拠があるか、いま考え中です。
NYK の元社長有吉義弥氏(故人)は、ニューヨーク急航船として畿内丸は優秀で、この航路で NYK は OSK に遅れをとり、その後に建造された能登丸は船価も高く採算性が不良であったと率直に述べています
(ref 1) 。
このように船の性能やコストは船社の業績に大きく関係すると私は思いますが、これに関する具体的・定量的な発表はあまり見たことがありません。 理由や事情もあるのでしょうが、私は知りたいと思います。
神川丸は長さを他の2船の 136m に対して 145m と長くしており、そのためか実海域航行性能が良く、太平洋横断ブルーリボンを獲得しました。 私は学生時代、池田勝先生(故人)のお世話で先輩の杉本弘之氏(故人)のおられた㈱船舶研究所でアルバイトしましたが、当時社長の前野政之介氏(故人)は川崎の設計部長として神川丸の設計に携わった話をしてくださり 「あの船について 7500PS では不足という意見もあったが、ワゲニンゲン水槽でも試験してこれでゆくと決断した。 結果は、あの船はよく走る船だったよ」 と言われたのを憶えています。
今回は斜め前から見た絵も入れました。 ハウス前面の窓等の配置や門型デリックポストが船のカタチには重要で、それを表現したいと思ったからです。 ただし遠近はなく、無限遠の船を望遠鏡で見たものに相当します。
(ref 1) 有吉義弥、回想録・日本海運とともに、ラメール 1978-12
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