船のカタチ(27)  海洋作業船
               SKANDI AKER(SK)、 SEVEN ATLANTIC(SE)、 NOBLE GLOBE TROTTER(NO)、
               SAIPEM 12000(SA)、 DEEPOCEAN CHAMPION(DE)

                                                                   2012-03 神田 修治


RINA(英国造船学会)は毎年Significant Ships of ・・という年鑑を発行し、その年の世界における主要な新造船の写真、要目、一般配置図、解説を掲載しています。 これは貴重な資料で、英国造船の情報力のスゴさを私は感じます。 去年2011年3月に郵送された最新2010年版を見ると種々の海洋作業船が出ています。

今回はそのSignificant Ships of 2010から海洋作業船の絵です。 DE、SA、NOの各船は海底掘削船、SK船は海底油井のメンテナンス作業船、SE船は潜水作業船です。 掘削船は以前、セミサブ型等多様なカタチもあったが、近年は船形に落着いてきたようで、部に掘削ヤグラ、前部にハウス、後部は原動機、その間はドリルパイプやそのハンドリング装置が配置されています。 ポッド推進器、DP装置の他、多種の船内システムへ給電するため原動機システムは統合電気推進方式でしょう。

私は現役時代の1980年代、JAMSTECの「かいよう」や潜水艦救難母艦「ちよだ」の、飽和潜水装置の開発に参画しましたが(1)、これらのダイバー高圧下居住用チャンバーDDCは2基であったのに、上掲SE船ではDDC6基となり、格段に大規模化していると感心しました。

船は海上輸送の手段として重要だが、それに加えて海底石油開発等の高度で大規模な海洋作業を行う手段として重要性を増していることがわかります。 ところがここには韓国やヨーロッパの造船所は活躍しているのに日本勢はいない。 いろいろの事情や考えもあることと思いますが、外野席応援団として私は残念です。

もうすぐ新しい2011年版がRINAから届くだろうと思います。それまでに、とあわてて2010年版を大雑把に通読し、その感想を交えてアウトプットしたものが上のスケッチ、ということです。

  (1) 神田修治他、深海潜水作業システムについて、第10回造船学会夏期講座「新しい造船学」(1984)


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