今回は英国海軍(Royal Navy RN)の潜水支援艦DSV(Diving Support vessel)を見ます。
RNは潜水艦救難艦ASRとしてのDSVではなく、それも含めたいろいろの用途・役割を想定しているようです。
RECLAIM<1949>は掃海艦として建造されたクラスの一隻で、DSVとしてPortsmouthのHMS DOLPHINに所属。 PTCを搭載し種々の潜水作業を行ったがその中には潜水艦救難もありました。 船体は小柄だがよいカタチ。
DILIGENCE<1984>はもともと船社のSTENA社が北海油田開発等のDSVとして建造した2隻のうちの1隻STENA INSPECTOR<1980>だがフォークランド戦争のときRNがチャーターし、あと1984年に買船してFRS(前線修理艦)となり現在も活動しています。 本船も機能的なよいカタチです。 DSVとして大型・高性能ですが、現在もDSV本来業務の潜水支援作業をやっているかどうかわかりません。
CHALLENGER<1984>はRNが、はじめから潜水作業等の海中海底作業を意図して計画・建造したもので高度の潜水作業装置DDS(PTC、DDC)を保有し、新艦種SOV-Seabed
Operation Vesselとして建造されました。 DPSを有し推進器として艦尾にはフォイト・シュナイダー推進器2基、艦首にはバウスラスター3基を備えた野心的な艦です。 私は1981年Londonで開催された潜水技術の国際会議DIVETECH81に出席しJAMSTECの潜水技術研究設備の整備と運用について発表しましたが
[1]、そのとき会場ロビーには本艦の大きな模型が展示されており、私はその計画の壮大さに瞠目しました。 そのカタチは上図のように軍艦らしい良いカタチであります。 私は本艦の活躍に関心を寄せていたのでありますが、本艦は建造工程が予算の関係で遅れ、就役後もあまり目覚ましい活躍をすることなく2000年退役、売船されたことは残念に思います。
上記LondonでのDIVETECH会議が終わった後、私たちはPortsmouthに行き、HMS DOLPHINとHMS VERNONという海軍施設を訪問し、RNの潜水技術、潜水艦救難技術について見学し説明を受け、得るところ大でありました。 なおこれらはHMS-Her
Majesty Shipと称するが艦船ではなく陸上の研究所等の施設です。 これらの研究施設もその後閉鎖されました。 現在RNの潜水技術は掃海作業が主体のようで、潜水艦救難はNATOの一員として無人化システムをやっているようです(NSRS-NATO
Submarine Rescue System)。
[1] M. Matsuda etc. Modification to Underwater Simulation Facility, JAMSTEC、DIVETECH‘81
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