船のカタチ(64)  PRINCESS CRUISEのクルーズ客船
                  DIAMOND PRINCESS級、 PACIFIC PRINCESS級、
                  SPIRIT OF LONDON、 ROYAL PRINCESS
                                                                   2015-04 神田 修治


Princess Cruise(PC社)は今年2015年も上のDIAMOND PRINCESSで日本ベースのクルーズをやります。
ムカシ人間の私には 「CarnivalのPrincess」 というよりも 「P&O*のPrincess」 のほうがピンときます。
これから数回 「P&OのPrincess」 というセンスでクルーズ客船のカタチを見てゆこうと思います。



下図はPACIFIC PRINCESS級、SPIRIT OF LONDON(SL船)、ROYAL PRINCESSを示します。



P&Oは周知のように伝統ある英国船社。
古くから世界中に定期貨客船を運航したが、定期船の閑散期にはクルーズ事業をやりました。 1960年代の新造船CANBERRA (船のカタチ-3) はクルーズを意識した船でありました。 その後定期船事業の凋落傾向に対してクルーズ事業に注力し、1971年クルーズ専用船SL船を建造しました。 この船はカタチも前衛的です。

一方Princess Cruise社は1965年に米国からメキシコへのクルーズ事業を創業しました。 その後1971年建造のクルーズ船2隻を入手してPACIFIC PRINCESS、ISLAND PRINCESSと命名し、カリブ海やアラスカ等さらに広い区域でクルーズ事業を展開しました。 そして1974年P&Oに買収されP&O傘下に入りましたが、Princess Cruiseの社名は残りました。

P&O傘下のPC社は事業発展し、1984年には新造船ROYAL PRINCESSを建造します。
本船はP&OとPC社のクルーズ事業の経験を集成し工夫を凝らした画期的な船と私は思います。 本船については 船のカタチ-11 にも取上げたが、 ① 外側に面したベランダ付客室を多くとる ② ボートを低位置に配置しボート甲板より上にも多くの客室を配置する ③ 船首錨装置等エンクローズ ④ 船長さ一杯の客室ハウス ⑤ 船尾機関のエントツを中心にオブジェを形成し船全体のカタチを整える、等の工夫が見られます。 そしてこれらの工夫は、現在のクルーズ客船、例えば上のDP船に至るまで継承されていることに気がつきます。

  *P&O : Peninsular and Oriental Steam Navigation Co.


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