2.ユーラシア大陸の創成
今から46億年前、地球は太陽系惑星の一つとして誕生し、メタン、アムモニア等
の大気圏に包まれて、激しい化学反応を起こし続け、その間、放電現象も加わり
、生命体の源となるアミノ酸等も創られた。38億年前、地球内部の胎動から溶岩
、水蒸気、炭酸ガスが湧出し、大陸、海が創られ、大気圏は炭酸ガスに置換され
た。海中に珪藻類等の生命体が現れて酸素を放出、大気圏は再度の置換、3回目
で酸素主体の現在のものに落着いた。そして、酸素を生体エネルギーとして消費
する動物体が海中に誕生、生命体にとって有害な太陽プラズマ、過度な紫外線等
は大気層に阻まれて地表に届き難く、地表温度は生体にとって最適な常温が維持
されるようになった。これは太陽との距離が、生命体にとって、どんぴしゃり奇
跡的に適切な位置であったからである。従って、植物類は4億年前に、動物類は3
億年前に陸地に進出した。3億年前から4億年前の間、地球胎動により地表ではカ
レドニア、バリスカン変動が生じ、その都度、動植物類は埋没を繰返され、石油
、石炭等の源が創られた。隆昌を極めた恐竜時代は2億5千万年前に終息し、やが
て哺乳類の時代が訪れるようになったが、その時代に存在した大陸は、平たいパ
ンゲア大陸一つだけであった。やがて、パンゲア大陸の下方からマントルが湧出
し2億年前から、パンゲア大陸は7個に分割、各種植物、哺乳動物等を乗せたまま
、大陸移動が始まった。大洋の海底に多くの海嶺、海溝が生じ、海嶺から湧出す
マントルはプレートとなって地表を覆い、徐々に移動して2−3億年を要して反対
側の海溝から地球内に戻る現象が現れた。(これは20世紀、プレートテクトニク
ス現象と名付けられた)。パンゲア大陸の主要部はユーラシア大陸として残り、
分離された西側はユーラシア大陸から西方へ離れ、大西洋を形成して南北米大陸
となった。北米大陸が西方移動して、ベーリング陸峡で再びユーラシア大陸に接
するや、移動は停止した。パンゲア大陸の南半分は南方へ移動し、その一部、イ
ンド亜大陸、アフリカ大陸は反転して再び北上し、ユーラシア大陸プレートの下
側に潜り込むように衝突した。こうして現在の6大陸ができあがり、その後、大
移動は停止した。これは今から1000万年前のことである。そしてプレートが相互
に押合う力は、各大陸に活発な造山活動を生じさせるようになった。ユーラシア
内陸部では北ユーラシア高地が盛上がり、「興安嶺山脈」、「アルタイ山脈」、
「テンシャン山脈」、「カフカス(コ―カサス)山脈」等が造山された。つまり、
東から西へ6000kmに亘るユーラシアの背骨ができあがった。また、インド亜大陸
およびアフリカ大陸とユーラシア大陸の衝突は、「ヒマラヤ山脈」、「コンロン
山脈」、「ヒンズークシ山脈」、「カルパチア山脈」、「アルプス山脈」、「ピ
レネー山脈」等、諸々の東西に連なる連峰を創りだした。これらの連峰とユーラ
シア高地の間の「タリム盆地」はシルクロードを産んだ。「地球物理現象」と「
人類の歴史」が切っても切れない因縁を結んだのである。プレ―トテクトニクス
力は、平らなパンゲア大陸に7000−8000m級の山岳地帯を構築した。世で云うア
ルプス変動期であった。新しくできた山脈により、地表では西風が山脈の西側に
多量の降雨をもたらし、森林が育ち、山脈の東側にフェーン現象が現れ、砂漠化
を呼んだ。そして各地の温度分布は激変した。猿類は1500万年前に現れたと云わ
れるから、彼等はこの大きな地球変動期に世界各地を逃げ回ったことであろう。
また、厳しい気候変化は哺乳類の急速な進化を促し、人間誕生への素地が創られ
た。600万年前、東欧には、オーストリア地方からアラル海に達する「ラックマ
ール」と云う大湖があったそうである。アフリカプレートの圧力によるアラビア
半島の創成は、大洋をインド洋と地中海に分離した。アルプス山脈の隆起ととも
に「ラックマール」の真ん中に、カルパチア山脈が造山され、大湖は消え、「黒
海」、「カスピ海」が残ったのである。この変動により、600万年前、それまで
地中海へ注いでいた諸河川が閉ざされ、ジブラルタル陸峡もプレート力により閉
鎖されたので地中海は干上がり、深さ3000mの砂漠と化した。海底に岩塩、石膏
等を含んだ堆積層ができ、その下側に石油、石油ガス等が蓄積されるようになっ
た。各地、造山地帯に金、銀、銅、ウラン等の鉱物資源が埋蔵され、人類が享受
している諸資源が用意されたのである。550万年前、ジブラルタル陸峡が開き、
大きな滝となって大西洋の海水が流入、100年を費やして現在の地中海が出来上
がった。これにより地中海の海洋生物は中新世から鮮新世のものに変わった。
以上のように、ユーラシア大陸の西側の「ブリテン」、「イベリア半島」は旧大
陸から引き裂かれてでき、南側では「アフリカ大陸」と「インド亜大陸」の衝突
により「地中海」、「アラビア半島」、「インド」が、極東では「太平洋プレー
ト」、「フィリピン海プレート」、「オーストラリアプレート」の作用により「
アリューシャン列島」、「サハリン」、「日本列島」、「朝鮮半島」、「台湾」
、「インドシナ半島」、「東南アジア諸島」等が1000万年前−550万年前に形成
された。この時には未だ人類は存在しなかった。人類誕生は200万年前−490万年
前、「誕生の地は東アフリカ」と云われるが確かなことは解かっていない。人は
狩猟、採集の移動部族、だから「アフリカ大陸」、「ユーラシア大陸」その他を
あまねく移動し、各地に点在、分布したと類推できる。すなわち、猿やその他の
獣の移動と同様であっただろうと思う。100万年前から地球全域のプレート接合
地帯、造山地帯では周期的に地震活動、火山活動が起こるようになった。大陸移
動が難しくなったためである。現在も今後もこの活動は続く。地震の被害は有史
以来、多数記録されている。その周期は 50年から数百年におよび、脆性破壊現
象を伴うから、現状技術で予知することは難しい。100万年前から地球上に氷河
期、間氷期が4度訪れ、その最後のものが6万年前−1万年前のウルム氷河期であ
った。人類は誕生以来、猿人、原人、旧人、新人と進化したが、厳しい地上環境
を生き抜くため、素晴らしい頭脳と身体能力を兼備するように進化が促進された
のではないだろうか。モンゴロイド、コーカソイド、ネグロイドその他の人種に
分かれたのは、ウルム氷河期の直前、今から6万年前位の時と云われている。太
陽紫外線は細胞中のDNAに障害を与える等人体にとって有害である。人はメラニ
ン色素を肌、頭髪、眼球等に蓄えその害を防いでいるが、他方、紫外線は骨格形
成に不可欠なビタミンD3を作るから人の成長に不可欠である。自然の摂理は、メ
ラニン色素を加減して紫外線摂取量を最適化するように働いた。すなわち、日射
量が極端に少ない北西部ユーラシア地域では白人種(コーカソイド)、紫外線が過
剰なアフリカ地域では黒人種(ネグロイド)、ユーラシア東部では黄色人種(モン
ゴロイド)が生まれた。コーカソイドはメラニン色素が少ないので、強健な骨格
が発達し、北方モンゴロイドは極寒に耐えうるよう、身体がズングリと小型化し
たのではないだろうかと考える。3万年前から。北方モンドロイドは、ウルム氷
河期で地肌が露出したベーリング陸峡を超え、北米大陸へ渡り始めた。氷河期が
終結した1万年前までに南米南端マゼラン海峡まで新大陸に広く分布した。よく
知られている「モンゴリアン・ロードの旅」の物語である。旧石器時代の民族
移動の話である。
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