船のカタチ(29)  戦後OSKの南米航路移民貨客船
                 あめりか丸級、さんとす丸、ぶらじる丸、あるぜんちな丸

                                                                   2012-05 神田 修治


むかし 「郵船・商船」 と称されたが、前回の 日本郵船NYK につづき今回は 大阪商船OSK です。
OSKといえば戦前から南米航路・移民客船で知られたが、ここには戦後の南米航路の貨客船を示します。

戦後、南米移民再開にあたり1952年貨客船「さんとす丸」が建造されました。 つづいて1953年にはニューヨーク航路を走っていた貨物船「あめりか丸」と「あふりか丸」が貨客船に改造されて仲間に加わりました。 これらの
3船は主要寸法、船型は共通であり「あめりか丸」の派生型ということができます。

そのあと「ぶらじる丸」、「あるぜんちな丸」は船隊の増強のため、本格的な貨客船として建造されました。
「ぶらじる丸」のハウス前部やエントツのカタチには戦前の「ぶらる丸」と似たところがあると私は思います。
「あるぜんちな丸」は「ぶらじる丸」の流れを継ぎながら、さらに進化したもので、エントツは高くて先が細くなっている、いわゆるトルコ帽型です。 エンジンは客船として船体振動をより少なくするためかタービン主機です。 これら2船は彩色も特別で、船体は黒ではなく、藤色の混じったグレイとなりました。 これを見て私は、有名な戦前の「ぶらる丸」型2船の特徴を継承しながらも、独特の進化をはかろうという強い気持ちを感じます。

上記の5船はすべて三菱神戸建造ですが、当時OSKと三菱神戸には強いつながりがありました。
このようなつながりは、性能、カタチ、使い勝手等の優れた船をつくる上でも大切なことと私は思います。


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